終わらない夏休み 休養日
深夜 110番 22日目(8月10日)
独房は、狭く1畳くらいの広さしかない。床にはビニールシートがはられ、毛布が1枚あるだけである。
眉子は、朝早く目を覚ましてしまい、体中を襲う激痛にうずくまっていた。尿道からは、血が混じった尿が垂れ流しになっていて、股間を濡らし、ビニールシートに水たまりを作っていた。毛布は、眉子の体液や血を吸い、斑模様になっている。
(痛い、いたいよぉ、お腹の中が、かき回されているみたい・・・・。死んじゃうのかなぁ。でも、だめ、私が死んだら・・・達也や両親は、どうなるの?ああ・・・今日は、どんな拷問を受けるんだろう?死んでしまいたい・・・でも、死ねない・・・なんのために生きているの・・・?苦しむため・・・痛がるため・・・達也に会いたい。お母さん、お父さん、お友達・・・あいたいよぅ。)
眉子が痛みの中のうつろいだ取り留めのない思考を繰り返しているうちに扉が開いて、髪の毛を引っ張られた。
「い、いたいっ」
「ほら、起きるんだ!朝だよ」
敏江が髪をつかんだまま、眉子を独房から引きずりだした。
「今日は、登校日だから、拷問は、お休みだ。さっさと食事をすますんだ」
「は、はい、乱暴は、やめてください」
拷問が休みだと聞いて、眉子は、少しだけ元気が沸いてくるような気がした。
(今日は、休める・・・)
食堂に行くと明美が待っていた。
「今日、藤崎君にあなたのラブレターを届けて上げる。さっさと餌を食べなさい。早く学校へ行かなきゃいけないものね」
「は、はい・・・わたしも学校へ?」
「バカね。あなたはお留守番よ」
ドンブリになみなみ盛られた食事は、真っ赤だった。
「こ、これは」
「あなたが昨日、垂れ流したタバスコよ。他にいろいろ入れておいたから、栄養も満点よ。さっさと食べなさい。学校に遅れるでしょ」
眉子は、一口含んだだけで咽せかえった。
「なにやってるの?亜紀さんには、食べられなかったら、尻の穴から食べさせるように言われているのよ。今日は、急ぐんだから、早く食べて!」
眉子は、汗だくになりながら、タバスコスープを飲みこんでゆく。眉子にとって、このくらいの苦痛は、もはや、軽い方なのだ。眉子が飲み干すと、明美と敏江は、バタバタと食堂を後にした。
「今日は館に2人きりだ。拷問は休みだが、俺がたっぷりと可愛がってやるよ」
章一は、イスにもたれ、眉子の髪を撫でながら言った。
「章一さん。私のこと、本当に可愛いと思ってくれているのですか?」
「もちろん。君ほど可愛い女の子は、他にはいないかもしれないな」
「もう、わたしを虐めるのやめてくださいませんか?」
「なぜ、そんなことを言う?」
「私も章一さんのこと、素敵な人だと思います」
「ゴマをすってもだめだぞ」
「本当です!私にやさしくしてください!そうしたら、わたし・・・あなたに一生付いていきます。もう、普通の生活には、戻れそうにないから・・・」
眉子は章一の顔を上目遣いにのぞき込む。普通の男ならどんな頼みでも聞いてしまいそうな可愛い顔だ。章一は笑いながら
「なかなかやるな。眉ちゃん。君はこれから、どんどん綺麗になるだろうな。日本一の美人になるかもしれない。しかし、人間は歳をとり、やがて老いる。君は、今、15歳だ。女の場合、15、6歳の頃が一生のうちで一番生命力にあふれ、耐久力が高まるといわれている。病気や怪我に最も強い時期なんだ。君は、こんなにハードな拷問に耐えることができるのは一生のうちで、今しかないのだよ。僕らも君に苦しみを与えるのは今が一番いい時期なんだ。あんなに大きく広げられた穴だって今は元通りだろ。君のような、最高の美少女は今のうちの嬲り殺すのが一番いいんだよ」
と言った。
恐ろしい言葉に眉子は震え上がり気が遠くなりかけた。
「わ、わたしを殺すつもりなのね」
「馬鹿だな。俺達は君を殺しはしないよ。そんなことをしても面白くないじゃないか。ただ、苦しんでいる君を見ていたいだけさ」
「し、信じられない・・・」
「君は夏休みが終わるまで生きることを考えろ。そのあと死ぬのは一向にかまわない。ただ、夏の間は楽しませてくれよ。そうすれば、お前の家族には手をださないよ」
「わたし、死んじゃいそうです。なんども死ぬかと思いました。もう少し手加減してくれませんか?」
「だまれ!きさまは、ただ悲鳴を上げてりゃいいんだよ」
章一は眉子の髪の毛をつかみ頬にビンタを食らわした。
「じっとしていろ!今日は、1日中、お前の体を弄んでやるよ」
そう言うと、章一は、眉子の乳首に安全ピンを突き通した。
「い、いたい!拷問は、お休みだって言ったのに!」
「拷問は、しないさ。ただ、犯されているとき、女の喜びを感じられちゃ面白くないからな。ずっと、痛がっていてもらうぜ」
もう1本刺す。
「乳首より乳輪の方が痛いかもな」
「きゃあ!」
安全ピンを乳首にクロス刺しにし、乳輪にも4本ずつ飾った。
「下も飾ってやるよ。股を開けよ」
「ひどい・・・これじゃあ、拷問じゃないですか」
「うるさい!だまって、犯されるんだよ」
章一は、眉子の股間のヒダと突起に安全ピンを容赦なく刺して行く。
「クリとリスには、十字刺しが似合うな」
「ぎゃああああっ!」
「これからが、本番だぜ。眉ちゃん」
章一は、そう言うと眉子にのしかかっていった。
夕方になって亜紀達が返ってきた。
にぎやかにキャーキャーお喋りながら歩く3人は、普通の女子高生だ。
章一と眉子のいる部屋に入って来ると亜紀が言った。
「眉ちゃん。お兄さんは優しくしてくれた」
眉子は泣き腫らした目でうなずく。体は、血塗れだった。
「今日の眉ちゃんは積極的で参ったよ。やりすぎて腰が重いよ」
「ねぇーっ、聞いて、聞いて。眉ちゃんのラブレター、彼に渡してきたわ。机の中に入れて置いたの。それを見つけるなり彼ったら、屋上に行って手紙を開けたわ。見る見る顔が真っ赤になってね、職員室に飛んでいったみたい。眉ちゃんが行方不明になっていることは、みんな知ってたもの。今頃、眉ちゃんの変態写真は髭ゴリラや、体育の脳筋マンの手に渡っているかもね」
「あ、あ~っ」
眉子は大声で言葉にならない嘆きを発し泣き出した。
「でも、安心して眉ちゃん。あなたの気持ちは彼に伝わったみたいよ。だって、彼ったら、職員室に走って行くときズボンが突っ張って走りにくそうだったもの」
一同爆笑。
見回りの敏江が地下牢に入ってきた。昨日の休息で落ち着いた眉子は、賭に出る覚悟を決めた。章一や亜紀は、言いくるめそうにないが敏江ならなんとかなるかもしれない。助かるのは今しかないのだ。
「敏江さん。今日のことで警察の捜査も本格化すると思うの。あなたたち警察に捕まってしまうわ。そうなったら、死刑になるかもしれないわ」
「だまれ。つかまりっこない」
「お願い。わたしの話を聞いて。わたし、あなたのようなたくましい女の人が好きなの。あなただけは、捕まって欲しくない。でも、他の人たちは、そうじゃないと思うの。章一さんと亜紀さんは兄弟だし、亜紀さんと明美はいい仲みたいじゃない。捕まったら3人が口裏を合わせればあなただけ死刑になることだって考えられるわ」
「ふん。亜紀様はそんなことしない」
「でも、あなただけ、後かたづけさせられたり、夜の見回りさせられたり、わたし、貴方が好きだから・・・ここから逃がしてくれたら、警察であなただけ、脅されてしかたなくやったって証言するわ。そして、他の3人が逮捕された後、わたしはあなたの腕の中で虐められたいの。キスして。敏江さん」
眉子は目を閉じ敏江に自分の顔を差し出す。
「本当だな」
敏江は眉子の唇を吸い、舌を差し入れてきた。眉子は鳥肌が立つほど身震いしたが、舌を絡ませる。
「ああっ、んぐ、んぐ、ス、テ、キよ敏江さん・・・」
眉子は敏江に見送られ地下より出ることに成功した。眉子に失敗は許されない。慎重に館の様子を確かめる。亜紀の部屋からは、明美との喘ぎ声が聞こえてくる。章一はもう寝てしまっているようだ。今、外へ出ることは簡単だが、西も東もわからない山中を裸で彷徨うことになる。
体中傷つき、内臓も痛めつけられた体で、逃げ切れる可能性は、少ない。
眉子は居間へ行き電話を見つけ、110をダイヤルした。
「もしもし、警察ですか」
「う~ん。そうですが、あなただれです?」
眠そうな声だ。
「わたし、河合眉子っていいます。助けて下さい。誘拐されて、閉じこめられています」
「え、まだ、報道されていない。い、イタズラじゃなさそうだな。今、どこにいますか?」
「わかりません。どこかの、別荘みたいです。逆探知できますか?」
「待って下さい。少し時間がかかります。電話を切らないで」
「は、早くして下さい。わたしの家族を保護して下さい。逃げたら殺すって言われているんです」
「わかりました。すぐ、本署の方へ連絡を入れます。犯人は何人ですか?」
「4人です。男が1人、女が3人です。女の子3人は、わたしと同じ高校の生徒で、真野亜紀、敏江、工藤明美っていいます。男は真野章一で、学者みたいな人です」
「わかりました。逆探知が成功しました。すぐ救出に行きますから、隠れていて下さい」
電話が切れた。
やった。もうすぐ館は包囲される。朝には自由の身だ。
眉子は飛び上がりたいほど喜んだ。